#15 英語の品詞について

1年ほど前、ブログサイトnoteにて、少しだけ英文法の解説をしていた。本来ならそこで多くの人に英語を教えたかったのだが、最近忙しいのでなかなかできずにいる。

第一回として解説したのが「品詞」という、英語の基礎にして核心とも言える主題だった。せっかくの機会なので、ここでもあらためて、その内容を共有したいと思う。


英文法の学習、いや英語の学習において最も重要なものの一つが「品詞」です。英語学習者の殆どが「品詞」についてよく分かっていないし、指導者も時間の関係上どうしても省略してしまいがち… 

しかし、「品詞」というのは、様々なところで応用できる、基礎基本の「キ」です。

例えば、「to不定詞」を勉強するとき、”名詞”的用法とか、”形容詞”的用法とか、”副詞”的用法とか、出てきますね。

「品詞」がわからないのに、「to不定詞の”名詞”的用法は”名詞”と同じ働きをします」と言われても理解できるはずがありません。

実際に、to不定詞の理解を「訳を覚える」ことで止まってしまっているのではないでしょうか?

使い方まで分かっていますか?

そもそも品詞を理解していれば、「訳を覚える」ということすらする必要がなくなります。

この例以外にも、英語学習の上で、たくさんの場面で品詞を考えないといけないときがきます。

品詞を習得することは、ゲームでいうコントローラーの使い方を知るようなものなのです。

体系的に英文法を理解するためにも、基礎である「品詞」をしっかり学習していきましょう!

品詞とは?

国語辞典で引いてみると、

品詞というのは「単語を形態・職能などによって分類したもの。」と書かれてあります。

ようするに、「品詞は、単語が文中で果たしている機能(役割)を表したものである」と言えますね。

なので、品詞を使いこなすためには、その単語の役割がなんなのかを理解し、習得する必要があります。

ここで注意なのですが、一つの単語に一つの品詞(役割)が当てられているわけではありません。一つの単語には、複数の品詞(役割)が当てられている場合がかなりあります。

簡単な例でいえば、”train(トレイン)”は、「電車」という名詞もあれば、「トレーニング(訓練)する」という動詞もあります。

もう少しレベルを上げれば、”patient(ペイシェント)”なんかは、「患者」という名詞と「しんぼう強い」という形容詞があります。

そもそも、単語に品詞が当てられているというよりは、「文の中でどんな風に使われているか」で品詞は変わるという認識の方が適切でしょう。

(参考文献)

新明解国語辞典第7版

ジーニアス英和辞典第5版

品詞の数

さて、まずこの質問からしてみましょう。

「品詞の数はいくつありますか?」

この質問は、品詞を理解できる最低条件が整っているかの確認に使えます。ゲームのコントローラーのボタンの数をまず知るというようなことです。

では、答えられますか?無限にあるように感じますか?

「名詞?」「疑問詞?」「冠詞?」「関係詞?」「形容動詞?」…

早速答えを言えば、「8つ」です。

案外少ないような気がしますね。

名詞

代名詞

動詞

形容詞

副詞

前置詞

接続詞

感嘆詞

この8品詞が、日本の学校教育で一般的に教えられるものです。

これらは、品詞の第一段階目のざっくりした分類です。

さらに詳細にそれぞれの品詞の中に、細かい分類がたくさんあります。

例えば、「名詞」の中に、

「可算名詞(数えられる名詞)」や「不可算名詞(数えられない名詞)」があったり、

「代名詞」の中に、

「指示代名詞(this / that)」や「人称代名詞(I / you / him など)」、「不定代名詞(one / other / anotherなど)」があったりします。

あれ?「疑問詞?」「冠詞?」「関係詞?」「形容動詞?」は?

という質問にもお答えしておきましょう。

「疑問詞」は、「疑問代名詞(who・whom・whose・what・which)、疑問形容詞(what・which・whose)、疑問副詞(when・where・why・how)」 の総称のことです。

「冠詞」は、「形容詞」の中にある詳細な分類の一つです。

(※冠詞を含めて一つの別の品詞として考える場合もあります。そのときは、品詞は全部で「9種類」になります。)

「関係詞」は、「関係代名詞(that・which・who(m)・whose・what)、関係副詞(when・where・why・how)、関係形容詞(what・which) 」  の総称のことです。

「形容動詞」は、日本語文法に出てくるもので、英語の文法に「形容動詞」は存在しません。

品詞を覚えよう

品詞というのは、英文法を理解するのに最低限必要なものです。

ひとまず分からなくても構わないので、この8つをまずは覚えてしまいましょう。

細かな役割は、後でみることにします。

名詞

代名詞

動詞

形容詞

副詞

前置詞

接続詞

感嘆詞

「名詞、代名詞、動詞」

「形容詞、副詞」

「前置詞、接続詞、感嘆詞」

このグループで覚えてしまいましょう。

大まかなあ役割は以下の通りです。

「名詞、代名詞、動詞」・・・主語と述語になる(文を構成する)

「形容詞、副詞」・・・修飾語になる(文に飾りをつける)

「前置詞、接続詞、感嘆詞」・・・その他

この8つを把握するところから品詞の学習は始まります。

これからは、「名詞が….」や「接続詞の使い方は….」など、すでに登場人物を全員わかっているという前提で解説を進めます。

一旦ここまでをまとめました。

確認しておきましょう。

また品詞の詳細についてはこれから見ていきますので、軽く目を通しておいてくださいね。

(参考文献)

英文法総覧

英文法の核

それぞれの品詞の役割

ここからは、簡単にそれぞれの品詞の役割を確認します。

(さらに詳しい品詞の解説については、今後のNote記事にご期待!)

・名詞

名詞は、「人やものの名前をあらわす」と説明されますね。

しかし、名詞の役割は?と聞かれて、このように回答しては、答えになっていないと言えます。

名詞の役割は?と聞かれたら、「主語」「補語」「目的語」と答えましょう。

今はまだ「主語」「補語」「目的語」の意味が分からなくても大丈夫です。

具体的な名詞の単語は prince / book / computer / tea / paper / Osaka / Eiffel Tower などがあります。

・代名詞 

代名詞は、「名詞の代わりに使われる」もののことです。

名詞の代わりなのだから、もちろん役割も名詞と同じです!

(イメージとしては、「リーダー代理はリーダーと同じ仕事をする」ような感じです。リーダー代理が来たのに、リーダーの役割を担わないで、経理をし始められると、目が点状態ですよね?代わりなのに他の仕事(役割)をされるとびっくりしますね。)

つまりは、「主語」「補語」「目的語」が役割になります。

さらに、大きく分けて、代名詞は、

「I / my / me / mine」などの「人称代名詞」、 「this / that / these / those」の「指示代名詞」、「one / other / another」などの「不定代名詞」があることもおさえておきましょう。 

・動詞 

動詞は、「主語の動作や状態を表す」ことばのことを言います。

役割は、「(述語)動詞」になるということです。

品詞における「動詞」と文を作る動詞の役割である「(述語)動詞」は完全なイコールにはなりません。

詳しい解説は、「文型(動詞の型)」の解説に任せるとして、とりあえず「動詞」は「(述語)動詞」になると覚えてしまいましょう。

また、動詞は、「動作を表す」と説明するだけでは「動詞」というものを完全に説明できていないことにも注意が必要です。

動詞には、動作を表す「動作動詞」と状態を表す「状態動詞」の二種類あります。

例を挙げてみれば、

「write(書く) / read (読む)」などは動作を表しているので動作動詞で、

「think(考える) / love(愛する)」などは状態を表しているので状態動詞となります。

・形容詞 

「名詞の様子や性質、状態などをあらわす」というのが形容詞になります。

一般的に「名詞を説明することば」と言われることが多いですね。 

役割をと言えば、二つです。「名詞を修飾する」ことと、「補語」になること。

「名詞を修飾する」はすぐに出てくるのに、なかなか「補語」になるは出てこないので、すぐに思い出せるようにしておきましょう。

かなり大雑把な説明にはなりますが、この「名詞を修飾する」形容詞の使い方を「限定用法」、「補語になる」形容詞の使い方を「叙述用法」と言います。

I know the smart girl.

(私は、その頭の良い女の子を知っています。)

これは、smartがgirlを説明しているわけですが、

このとき「色々な女の子(girl)の中でどんな女の子(girl)なのかを区別(限定)」しているので、「限定用法」と言われます。

一方で、

That girl is smart. 

(あの女の子は頭が良いです。)

のように「補語(be動詞isの後ろ)」にきている場合は、

「女の子(girl)という名詞を単に説明(叙述)」しているので、「叙述用法」と言います。

・副詞 

副詞は、学習する上でかなり苦戦する人が多い品詞の一つです。

でも、ゆっくりと確認していけばそれほど難しくはありません。

まず、副詞は、「程度や頻度など」をあらわすと覚えましょう。 

主に役割として「動詞・形容詞・副詞・文など(名詞以外)を修飾」します。

形容詞は「名詞」を、副詞は「名詞以外」を修飾すると考えれば暗記量が減りますね。

しかし、副詞は「文の要素(主語・(述語)動詞・補語・目的語)」にはなりません。

いわゆるSVOCには、なれないのです。副詞を見かけたら、その点注意しましょう。

さて副詞の例を見てみます。

He runs so fast.

(彼は、とても早く走る。)

この文では、fast(副詞:早く)はruns(動詞:走る)を修飾していて、so(副詞:とても)はfast(副詞:速く)を修飾しています。

副詞は、このように「動詞」を修飾することも、

「副詞」が「副詞」を修飾することもあります。忘れないでくださいね。

・前置詞

前置詞は、「場所や時などをあらわす」品詞です。

前置詞は、単体では使われず、必ず後に名詞が続きます。

書いて字の如くですが、「名詞の前に置く詞[ことば]」で「前置詞」です。

役割としては、<前置詞+名詞>のかたまり(前置詞句)で形容詞と副詞の働きになります。

早速ここでも応用が効いてきましたね。形容詞と副詞の役割はなんでしたか?

形容詞は、「名詞を修飾する」ことで、

副詞は、「名詞以外を修飾する」ことでした。

・接続詞 

「単語や句、節などをつなぐ」ものを接続詞と言います。

接続詞は、単に二つを同じよう(並列)につなぐ「等位接続詞」と、

文を繋ぎ名詞や副詞のカタマリとして働く「従属接続詞」があります。

I have a pen and an apple.

(私は、ペンとリンゴを持っています。)

このandはa penとan appleをそのまま並列で繋いでいます。

I don’t care if you don’t have money.

(私は、あなたがお金を持っていなくても気にしません。)

ここではifが接続詞です。

Ifは副詞のカタマリを作っており、if you don’t have money(あなたがお金を持っていなくても)が、

don’t care(気にしません)の動詞を説明(修飾)しています。

ここでいう、andが「等位接続詞」、ifが「従属接続詞」になります。

・感嘆詞(間投詞)

感嘆詞は、「驚きや喜び、感動などの感情をあらわす」ものです。

oh / ouch / wow などが挙げられますね。

この感嘆詞は、感情を表すわけなので、他の品詞に比べると”文法的”重要性はそれほど大きくはないと思います。

こういう種類の品詞があるということだけ知っていれば十分です。

もちろん深堀すれば面白いので、英語が得意!と言えるようになってから勉強してみてください。

(参考文献)

英文法総覧

英文法の核

一億人の英文法

【タグ】

品詞, 英文法, 英語教育, 言語習得, 認知言語学, 品詞分類, 品詞理解, 文法指導, 英語学習理論, 品詞の役割, 文の構造, 英語文法体系, 教養英語