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  • #16 英語の文型について

    昨日同様に、ブログサイト「note」で解説した英文法の一部を抜粋し、こちらでも反映させたい。さて、今回は「文型」についてである。


    英語を話したいとき、てきとーに英単語を羅列するだけでは話していることは全く相手に通じません。

    英語話者は、ある一定の法則パターンに則って話しています。

    そのパターンの一つが、「文型」 です。 

    もちろん、文というのは数え切れないくらいに存在しています。そのため「文の形(型)」というのも、数え切れないくらいあります。

    その数え切れないくらいの文のパターンをある特定のポイントに焦点を当てることで、

    文の型として分けたのが、「文型」ということになります。

    日本で習う「五文型」というのは特に「(述語)動詞」の役割によって、文をパターン化し、5つに分けたものです。

    なので、文の型というよりは、「(述語)動詞の型」と考えておいても良いでしょう。

    また、言ってみればあたりまえのことなのですが、同じ形のパターンを取る動詞は、「同じような意味」になることが多いです。つまるところ、最悪、動詞の意味がわからなくとも、文型さえ取れれば、ある程度「意味」を予測することができるということです。

    逆を言えば、どの文型をとっているか見破れなければ、

    確実な「動詞の意味」は分かりません。

    例えば、「get=得る」とするのは危険です。

    getは、5つの文の型全てで使える動詞です。また、もちろん全て意味が異なります。

    あえてここでは詳しく解説しませんが、動詞の意味は文型を見ないと分からないということは押さえておいてください。

    https://youtube.com/shorts/njkHgcW-PT4?si=lKWqZqKZ6o8SErsV

    (どんな意味があるかチェックしたい人はこちらの動画をご覧ください。)

    ですが、先ほども言及したとおり、本来文の型は数え切れないくらいにあるので、全てをこの5つに分けることは不可能ですし、単純に「型にはまれば全く同じ意味になる」とも言えません。

    とはいえ、英語の文の基礎部分を理解するには良いツールだと思います。あまり揚げ足を取らず、基礎だと思って文型を習得していきましょう。

    文型の全体像

    まずは、それぞれの記号(アルファベット)が何をあらわしているのかから確認します。

    ・S(Subject)・・・主語

    ・V([Predicate]Verb)・・・(述語)動詞

    ・C(Complement)・・・補語

    ・O(Object)・・・目的語

    ・M(Modifier)・・・修飾語

    これらのこと英文法の世界では「文の要素(M:修飾語を除く)」と呼びます。

    英文読解の授業なんかでは、この記号をよく使うので今のうちに慣れておきましょう。

    さて、使い方や意味は、後でみるとして、全体像からみていきましょう。

    これは当たり前のことかもしれませんが、SVまでは共通しています。

    「5文型」というのは、「(述語)動詞」の役割(使い方)によって区分しているので、

    「(述語)動詞」のVまでは、第一文型から第五文型全て同じになるわけですね。

    まず英語では、主語である「何が、誰が」という情報が来て、その後に”結論”である(述語)動詞の「どうした」が続きます。

    英語が、よく「結論を先に言いたい言語」であると言われるのは、このためです。

    逆に、「主語→結論(述語動詞)」の順番ではないと、普通の文(平叙文)ではないと、すぐに分かります。

    例えば、疑問文(be動詞、have動詞、助動詞が先に来る)であったり、命令文(主語を省略して動詞のみ置く)であったりするわけですね。

    また、動詞を見れば、それがいつのことなのか(現在か過去か未来か)、するのかしないのか(肯定か否定か)もすぐに分かります。

    全く日本語とは異なりますね。

    日本語の場合、最後まで言わないと結論が出てきません。

    例えば、

    (英語の場合) I like apples. 

    S(I) V(like) までで結論は分かります。あとは、何が好きかを待つだけです。

    (日本語の場合) 私はりんごが好きです。

    「好きです」の結論が最後にあります。ということは、「好きなのか」「好きではないのか」や「今好きなのか」「前好きだったのか」など最後まで聞かないと分かりません。

    この話し方は、日本語特有で、日本人が英語を書くとき・話すときにも、引っ張られることがあります。

    今のうちから「主語→結論(述語動詞)」の流れを意識しておきましょう。

    ところで、ここまでの説明で単に「動詞」と言わず、毎回「(述語)動詞」というのはなぜか、気になりませんでしたか?

    前回の記事でも注意しましたが、品詞における「動詞」と文を作る動詞の役割である「(述語)動詞」は完全なイコールではありません。それを区別するために、毎度「述語」という文言をいれました。

    英語において、「述語(Predicate)」になれるのは「動詞(Verb)」であるとイコールを結ぶことはできます(述語=動詞)が、

    品詞における「動詞(Verb)」が「述語(Predicate)」であるとは言えません(動詞≠述語)。

    例えば、

    I like to swim in the pool. (私はプールで泳ぐことが好きです。)というのみてみると、

    like(好き)は「述語動詞」と言えますが、 swim(泳ぐ)は「述語動詞」とは言えません。

    述語というのは、文における結論部分です。この文の結論は、「好きです」という部分ですね。

    (to) swim(泳ぐこと)というのが、結論ではないことはお分かりいただけると思います。

    likeもswimも、品詞においては「動詞」になりますが、文においては役割が異なっているわけです。

    そのためわざわざ、「(述語)動詞」と説明しています。

    学校の授業や参考書には、いずれも「V」としていることがあります。

    どちらのことを指しているのか、よく気をつけて学習を進めてくださいね。

    (参考文献)

    英文法総覧

    ロイヤル英文法

    表現のための実践ロイヤル英文法

    動詞による区分(自動詞・他動詞)とは

    文型は、「(述語)動詞」の役割(使い方)によって、文を区分したものと解説しました。

    そうすると、文型の理解には、「動詞」の使い方が必要不可欠になってきます。

    まず大きく動詞を分けるのが、「自動詞」と「他動詞」になります。

    自動詞は、「自分だけでできる動詞」のことで、

    他動詞は、「他のものや人がいてやっとその行為ができる動詞」のことであると、

    ざっくりと理解してください。

    I run every day. (私は毎日走っています。)

    この “run” は、何もなくても「自分だけ」で行為を完結できます。

    He hit the girl. (彼はその女の子を殴った。)

    “hit” は、殴られる対象「他の人」が必要になります。

    少し余談ですが、この例文をみてみると、英語は「見たまま」を表現する言語だと言えます。

    どいうことか、絵を描いてみると分かります。

    左から右に、「見たまま」に流れていることが分かりますね。

    このように、英語は「見たまま」を言葉にする(説明的で分析的および客観的)ので、日本語に比べロジカル(論理的)な言語であると言われることがあります。

    さて、ここで文法に沿って知識を確認していきます。

    相手・対象がなくてもできる動詞を「自動詞」とよび、

    相手・対象があってはじめてできる動詞を「他動詞」とよびます。

    相手・対象のことを、英語で”Object”と言います。

    この”Object”を、英文法の用語に翻訳するときに、英語の文法学者は「目的語」という日本語をあてました。

    つまり言い換えれば、

    相手・対象は「目的語」と言い、

    目的語がいらない動詞が「自動詞」

    目的語がいる動詞が「他動詞」となります。

    今後詳しく解説記事を出しますが、

    まず前提として多くの動詞は、「自動詞」としても「他動詞」としても使うことができます。

    よく学習者の中には勘違いして、

    他動詞は日本語に訳すと「~をする」となることが多いから訳語(「何を?」と聞けたら他動詞)で他動詞か否かを判断してしまう人がいます。

    しかし、実際には、目的語があっても「を」以外の助詞を使うこともあれば、逆に聞けるけど自動詞ということもあります。

    ですから、使い方を知るには、辞書を引く他に方法はありませんので、面倒くさがらず動詞に出会う度に確認していきましょう。

    (参考文型)

    英文法総覧

    英文法の核

    一億人の英文法

    英文法用語の底力

    村端 佳子, 黒木 美佐(2020)「英語の絵本に見られる英語の見方・考え方の一考察 」宮崎国際大学教育学部紀要『教育科学論集』第 7 号32-43 頁

    自動詞と他動詞の更なる分類

    自動詞と他動詞と分けただけでは、まだ文型としての形が見えてきません。

    ここからさらに、自動詞と他動詞も分類していきます。

    完全自動詞

    不完全自動詞

    完全他動詞

    不完全他動詞

    以上4つに分類できます。

    この4つに加え、「完全他動詞」の中に「授与動詞」が入り、計5種類の文の型(文型)が出揃いました。

    これから解説しますので、まだそれぞれの意味は分からなくて構いません。

    もう一度、この図を使って確認しておきましょう。

    第一文型・第二文型には目的語がありませんので「自動詞」、第三文型・第四文型・第五文型には目的語がありますので「他動詞」になります。

    自動詞には2つの文型(文の形)が、他動詞には3つの文型(文の形)があります。

    よく見てみると、それぞれに特徴がありますね。

    目的語がなく動詞のみで終わっているもの、目的語はないのに補語があるもの。目的語が1つだけあるもの、2つもあるもの、目的語に補語が続いているもの。

    この特徴が先ほどの5つの種類の動詞の説明になります。

    完全自動詞・・・目的語がなく動詞のみで終わっている →第一文型(SV)

    不完全自動詞・・・目的語はないのに補語がある →第二文型(SVC)

    完全他動詞・・・目的語が1つだけある →第三文型(SVO)

    (授与動作)・・・目的語が2つもある →第四文型(SVOO)

    不完全他動詞・・・目的語に補語が続いている →第五文型(SVOC)

    (参考文献)

    英文法総覧

    英文法の核

    ロイヤル英文法

    表現のための実践ロイヤル英文法

    「不完全自動詞」・「不完全他動詞」とは?

    ざっと、みてみると、

    「補語」がつくと「不完全●動詞」になると分かってきましたね。

    不完全自動詞(SVC)を挙げて考えてみましょう。

    自動詞なので、O(目的語)はないですね。でも、動詞だけで文にピリオドを打つことことができず、主語の説明を補語(説明)で補うことが必要になります。その不完全さを含んだ自動詞のことを「不完全自動詞」というわけです。

    そうでなく、「SV」だけで終われるか、文の要素とは関係のない「修飾語」だけで終われる自動詞を「完全自動詞」と言います。

    さて、不完全他動詞(SVOC)も見ておきましょう。

    これは、目的語を取るので他動詞です。それに加えて、補語が続きます。SVOCのO(目的語)を説明するために、あとからC(補語)を続かせています。SVOC の C は「Oを主語として見たときの述語」みたいな関係です。

    (参考文献)

    英文法総覧

    ロイヤル英文法

    文の要素と修飾語

    「五文型の概観」の最後は、「文の要素」についてです。

    「文の要素」とは、「文を構成するのに最低限必要な部品」のことです。

    具体的には、

    主語(S)

    (述語)動詞(V)

    目的語(O)

    補語(C)

    のことです。

    修飾語(M)は、「他の言葉をより詳しく説明する」役割で、「述語動詞」の力が届かない言葉なので、

    「最低限必要な部品」ではありません。

    ということはつまり、「文の要素」にはならないことになります。

    例えば、dance「踊る」にbeautifully「美しく」で、

    dance beautifully「美しく踊る」ですが、

    beautifullyの部分はあくまでもdanceを詳しい情報を付け加えたに過ぎません。

    まとめると、いっさいの修飾語をつけない文が、

    英語においては「原型」になるということになります。

    しかし、実際は、例えば第一文型で完全自動詞のみ(修飾語をつけない)の文を構成してしまうと、落ち着きのない響きになってしまいます。なので、基本的には、何か修飾語を伴っている文を見ることが多いことになると思います。

    さて、ここからはそれぞれの文の要素の役割と、

    その文の要素になることができる品詞を復習を兼ねて確認していきましょう。(品詞については#2の記事を参照)

    ・主語

    主語になることができるのは、「名詞」と「代名詞」になります。

    日本語の「何が、誰が」の部分に相当します。

    ・(述語)動詞

    (述語)動詞になれるのは、もちろん「動詞」です。

    日本語の「〜する、〜だ」の部分に相当します。

    ・目的語

    目的語は、「名詞」と「代名詞」がなり、他動詞の後に続きます。

    役割は、動作や行為の対象になることでしたね。

    ・補語

    「名詞」「代名詞」「形容詞」が補語になれます。

    補語は、主語や目的語が「どういう状態なのか」、「どういったものなのか」という意味を補う役割があります。

    補うといっても、補語は修飾語と違い、取り除いてしまうと意味が通じなくなってしまいます。

    ここまでが、「文の要素」と呼ばれる「文を構成するために最低限必要な部品」でした。

    この「文の要素」を付け加えて説明するのが「修飾語」になります。

    ・修飾語

    品詞としては、名詞を修飾する「形容詞」や名詞以外を修飾する「副詞」になるのは予想がつきますね。

    (※しかし、読解授業の際、便宜上「修飾語」=「副詞語句」とすることがあります。実際に、『英文記事で学ぶ英語ワンポイントシリーズ』でも、解説内の板書を同様の形で記号をつけております。)

    【タグ】

    文型, 5文型, 自動詞, 他動詞, 英文法, 英語教育, 言語習得, 認知言語学, 文法指導, 英語学習理論, 文の構造, 英語文法体系, 教養英語